事前審査に通ったのに本審査で落ちることも? 新築一戸建ての住宅ローン本審査のあれこれ

自分たちの希望に合う物件も見つかり、住宅ローンの事前審査も無事パスしたAさん家族は、早くも新生活の準備に余念がありません。購入する一戸建ては広さも間取りも今までの家と大きく違うため、家具や家電の買い換えも必要です。Aさんは、クレジットカードのボーナス一括払いを使おうかと検討しています。

しかしある日、友人から「あんまりクレジットカードで買い物していると、住宅ローンの本審査に落ちてしまうかもしれないよ」と言われてしまいました。住宅ローンの事前審査が通っていても、本審査で落ちることがあるというのは本当なのでしょうか。

住宅ローン事前審査に通って本審査で落ちる理由

住宅ローンには、事前審査と本審査があります。物件の売買契約締結前に行われる事前審査の目的は、「明らかに返済能力がないとみなされる人をふるいにかけること」です。そこでは、自己申告や書類に基づいて、借り入れ希望者の返済能力が一通り判断されることになります。

その事前審査をパスしたら、今度は本審査を受けます。これは融資実行を正式決定するための審査で、借り入れ希望者の返済能力がより細かくチェックされます。自己申告や書類の内容に虚偽がないかということもきちんと精査されますし、物件の担保価値も厳しく審査されます。

したがって、事前審査と本審査では、審査にかかる期間も必要となる書類も異なります。事前審査では必要書類は少なく、審査結果も1週間程度で通知されますが、本審査ではさまざまな書類が求められ、審査にも2週間ほどかかります。

ここで冒頭の「事前審査にパスしても本審査で落ちることがあるのか」という質問に戻ると、「そうなる可能性は高くありませんが、ゼロではありません」というのが結論です。

理由として多いのは、「事前審査のときと本審査のときで、大きく変わったことがある」というもの。たとえば、購入物件が変わった、住宅ローンの希望借り入れ額が大きく増えた、事前審査通過後に転職や借り入れが発生したといったケースが該当します。

そのほか、精査した結果、個人信用情報に問題が発覚したケースや、団体信用生命保険(団信)の加入が必須の住宅ローンで、健康上の問題から団信に加入できなかったケースなども、本審査で落とされる理由になります。

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住宅ローンの審査はどこがするのか?

住宅ローンの融資をするのは、銀行などの金融機関です。住宅ローンの融資は何千万円といった高額になることが多く、万一返済が滞ればその損害は相当のものになります。金融機関は完済に至るまでの長い間、そのリスクを抱え続けることになるのです。

そこで、金融機関はこの貸し倒れリスクに対応して損害を最小限に食い止めるべく、保証会社を利用することがあります。ローンの返済が一定期間滞ると、保証会社は債務者に代わって住宅ローンの残債を金融機関に支払ってくれるのです。

この形態をとる住宅ローンの場合、住宅ローンの審査も保証会社が行うことになり、住宅ローンの借り入れに際しては「保証料」という料金を支払うことになります。

「フラット35」のように、保証会社を利用しない住宅ローンもあります。その場合は、審査は金融機関が直接行います。一般的に、こちらのタイプのほうが審査を通過しやすいとされています。

住宅ローン本審査で重要なポイント

住宅ローンの本審査を無事通過して借り入れを受けるために最も重要なポイントは、「借り入れた総額(返済する金額)」と「年収」とのバランスです。年収がどれほど多くても借り入れ総額が高額であれば返済しきれないことは起こり得ます。

住宅ローンを借り入れる場合、その返済負担を考慮すると、年収の7倍から8倍程度が限度額とされています。年間に返済すべき金額が年収の何割にあたるかを示す「返済負担率」は3割から4割程度が一定の基準とされますが、金融機関によってはさらに厳しくなることも。

こうしたことに影響を与える要素としては、「年収額」に加えて「住宅ローン以外の借り入れ額」や「頭金の額」などがあります。審査の通過確率を少しでも高めようと考えるならば、こうした点を考慮して資金計画を練ることが大切です。

おわりに

住宅ローンの審査というと、収入や勤続年数などをチェックされるということはわかっていても、それがどのぐらいなのかはよくわからず、なんとなくブラックボックスのように感じて怖がってしまうこともあるかもしれません。

しかし、審査でどういう点をチェックされるのかということがわかれば、具体的な対策もとりやすくなります。低金利時代の今は、住宅ローンを利用しやすい好機ともいえます。

せっかく見つけたいい物件を無事購入できるよう、住宅ローンについても計画的に考えて現実的に対処していくことが、マイホーム購入を現実にするためには有効です。