ついに引渡し! まだ油断は禁物! 新築一戸建ての引渡し前に行われる内覧会について解説します。

長年の夢だった新築一戸建ての購入をついに実現したAさん家族。売買契約や住宅ローンの契約、支払いなども問題なく済ませ、建物の完成も間近というところまできました。「あとは引越しだけ……」とほっとするAさん家族ですが、残念ながら、安心するのはまだ早いのです。

新築一戸建てが完成したら建物の引渡しを受けることになりますが、その前に待っているのが「内覧会」です。内覧会というと、完成した建物のお披露目の会という喜ばしい場のように思われるかもしれませんが、これはマイホームでの快適な暮らしを実現するための最後の重要なステップなのです。

「施工検査」とも言われる「内覧会」とは何か?

新築一戸建てを購入するといっても、すでに完成している建売住宅を購入するケースもあれば、注文住宅を契約して物件自体はこれから建ててもらうというケースや、これから建築する建売住宅を購入するケースもあります。

住宅がすでに完成していれば、思う存分見学したうえで購入を決めることができますが、これから建てる住宅の場合は実物が存在せず、モデルルームやパンフレットの情報といった“見本”から「こういう建物が建つ」と想定して売買契約を結びます。

後者の場合、購入する実物を見られるのは建物が完成してからとなり、いざ完成した建物が何らかの理由で契約どおりのものになっていない可能性があるのです。そこで、引渡しを受ける前に物件の状態を確認する場が必要となります。それが「内覧会」です。

内覧会では、契約で取り決めたとおりの仕様で建築がなされているか、物件に不具合や欠陥、施工不良や傷、汚れがないかどうかを買い主が確認し、もし何か問題が見つかったら売り主に対して修繕や補償を求めることになります。内覧会は「竣工検査」とも呼ばれますが、文字どおり検査を行うための場なのです。

内覧会前に準備しておきたいこと

内覧会は1時間から2時間ほどで行われることが多く、チェックに何時間でもかけられるわけではありません。限られた時間のなかで見るべきところをくまなくチェックするためには、事前に準備しておく必要があります。

最初の準備は、物件の資料や図面などにひと通り目を通しておくことです。そうすると「この部分はサイズをチェックしておかなければ」「ここのところは確認のために質問しておこう」といった疑問点をリストアップしやすく、当日のチェック漏れを防止しやすくなります。

もう一つの準備は、内覧会に持参すると便利なものをそろえておくことです。いろいろなところの寸法を測るメジャーと書き込む筆記用具は必須です。室内は暗いところも多く、きちんとチェックするためには懐中電灯も持っておきたいところ。

傾斜を確認するための水平器や、傷や汚れなどを記録するためのデジタルカメラ、不具合のある箇所を明確にチェックするための付箋紙・マスキングテープなどもあるといいでしょう。

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内覧時にチェックしておきたい点及び注意点

内覧会でチェックすべき項目は多岐にわたります。インターネットなどの情報を参考にしながら、自分や家族の場合に必要なオリジナルのチェックリストを作成しておくと、当日のチェックがスムーズです。

開閉部の動作に問題がないか、水回りはきちんと排水できるか、設備に不具合がないかどうか、廊下や階段の手すりがしっかり固定されているかといった点については、実際に設備を動かしたりさわったりするなどして確認しましょう。

床下の点検口を覗いてみることで、床下の水たまりなどが確認できることも。建築時のごみが残されていたら、清掃を徹底してもらうよう伝える必要があります。隣家との境界線もきちんと確認すること。

施工会社の担当者や売り主の同行する場で、隅から隅までチェックし、何かあれば修繕を求めるのは気が引けると感じることもあるかもしれません。しかし、大事な住宅のことですから、いらぬ遠慮は不要です。納得のいくまでチェック・交渉しましょう。

そうしたやりとりの際は、具体的な日程や金銭の負担などを明確に決め、その内容を口頭だけでなく書面で共有・確認しておくのも重要です。

おわりに

「新築一戸建て」というと完璧な住まいを想像するかもしれませんが、注文住宅でも建売住宅でも、内覧会を迎える段階で完璧に仕上がっているということはそれほど多くないというのが実状です。

したがって、内覧会で何らかの不具合が見つかることは珍しいことではなく、住みはじめてから不具合や欠陥に気づいても万全の補償を受けられないこともあります。

万全の状態に仕上がった建物の引渡しを受けられるようにするためには、内覧会には「何らかの不具合があってもおかしくない」と考えて臨み、きちんとチェックする必要があるのです。