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2018-07-31

最終更新日:2019-12-25

知らないと損する! 不動産購入時の手付金の種類と注意点について


不動産の売買契約を締結する際に必要となるのが「手付金」です。この手付金は、さまざまな面をもっています。

その性質を正しく理解し、実際の契約に向けて準備しておきましょう。

手付金にも役割がある

不動産の売買に際して、購入の意思を示すために支払う費用を「申込証拠金」、売買契約の成立を前提として支払う費用を「手付金」と呼びます。手付金は「内金」と呼ぶこともあります。

手付金は、物件の引き渡し前に購入代金に充当されるため、前払金の性質をもっています。手付金として支払う金額は、物件の売買価格の10%から20%が相場です。

宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者である不動産会社が売り主として手付金を受け取る場合、手数料の上限額は物件の売買価格の20%と定められています。

申込証拠金が購入の意思を示すという役割をもっているように、手付金にも支払う目的があり、手付金が果たす役割があります。それが、「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3種類です。具体的には、どのような役割を担っているのでしょうか。

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証約手付

不動産の売買契約が成立したことを証明するために授受される手付金を「証約手付」と呼びます。

不動産の売買契約に際してはさまざまな交渉を経ることが多く、その過程ではさまざまな約束ごとが上がっているでしょう。そのなかで、どの段階で契約が成立したのか、口頭の約束だけではあとであやふやになったり、“言った言わない”になる懸念もあります。

そこで、契約の成立を明確にするために交わされるのが、証約手付としての手付金というわけです。

売買契約書において、証約手付としての役割は「買い主は、本契約の締結と同時に、手付金として金○円也を売り主の指定する次の金融機関口座に振り込む方法により支払う」「前項の手付金は証約手付とし、利息を付さない」といったように記載されます。

解約手付

申込証拠金を支払うだけでは、不動産の売買契約は成立していません。商談を経て「やっぱり買いたくない」と思ったら、その段階でキャンセルすることができます。

売買契約が成立しなければ、申込証拠金は戻ってくるのが一般的です。

しかし、手付金の支払いは、売買契約の成立を意味します。そうなれば、契約は簡単にはキャンセルできません。契約という行為は、それだけ重い意味をもつものなのです。

それでも買い主が解約したいと思ったら、すでに支払った手付金を放棄して返還を求めない――そうすることで、売買契約を解除することができます。反対に、売り主がキャンセルしたいと思ったら、すでに受け取っている手付金の2倍の額を買い主に返す必要があります。

そのように、手付金の授受によって契約の解約権を行使する権利をもつというのが、解約手付としての手付金です。売買契約における手付金は、特別の意思表示がない限りは、この解約手付の性質をもつものと推定されます。

売り主と買い主との間で、解約手付としての手付金の授受が行われた場合は、売買契約の成立後であっても一方の当事者だけ、売り主か買い主かどちらの意思だけで契約を解約することができるとされています。

手付金が解約手付であれば、買い主は手付金を放棄すること、売り主は手付金の2倍の額を返還することで、相手方の承諾を得ることなく解約することができます。損害賠償を行うこともありません。

手付金の適正価格とは?

不動産会社が入った取り引きでは、手付金の金額は不動産会社が一方的に指定することも少なくありません。しかし、手付金には相場や上限金額の定めがあります。

証約手付の金額は、前述のとおり「不動産の売買価格の10%から20%」が相場です。解約手付の一般的な相場でいえば、「売買価格の5%から10%程度」が適切と考えられています。

加えて、手付金には上限の定めもあり、たとえば新築マンションなどの未完成物件で不動産会社が売り主の場合、その上限額は「売買金額の5%(かつ1000万円以下)」となります。完成している不動産や中古物件の場合、上限は「売買金額の10%(かつ1000万円以下)」です。保全措置を講じたとしても、手付金の上限額は「売買価格の20%」までしか設定できません。

売主側の手付金リスクとは?

不動産の売買取引において買い主が支払う手付金は、売り主にとっては「未提供(未完成)のものに対して先に対価を受け取る行為」であり、キャンセルの防止効果にもつながるなど、メリットの大きいもの。余剰資金が少なく資金繰りに苦労しているような小規模の不動産会社であればなおさらでしょう。

そのため、不動産会社はなるべく多くの手付金を求める傾向にありますが、万一不動産会社が倒産してしまうなどしてしまえば、本来契約した住宅の提供ばかりか手付金の返還を受けられなくなってしまうことも考えられます。

そのように、大きいリスクを大きく背負うのは買い主であることが大半です。そのため、万一のケースに備え、買い主は売り主側の保全措置を十分確認しておく必要があるでしょう。

一方で、手付金のリスクは売り主にもゼロではありません。何かしらの事情で売り主が契約を解除したいと申し出る場合、すでに受け取っている手付金の倍返しが必要となるのです。手付金を多額に設定していれば、その分“倍返し”の金額がかさむことになります。

解約手付による契約解除はリミットがある

解約手付としての役割をもつ手付金を支払っていても、いつでも契約解除ができるというわけではありません。この権利を行使して契約解除が可能となるのは、「相手方が『契約の履行』に着手するまで」です。

つまり、契約に定められた約束ごとを相手方がすでに実行している場合は、手付金の放棄による契約解除を行うことはできません。相手方が契約の履行にすでに着手している場合、そこからの契約解除は相手方に損害が発生することになります。

そのような契約解除が起こらないよう、民法で規定されているというわけです。

「『契約の履行』に着手」がどのようなことを指すかというのはケースバイケースですが、不動産の売買契約においては次のような行為が該当することが一般的です。

・売買する不動産物件を借りていた賃借人と売り主との賃貸借契約を、売り主が解消した
・売り主が、売買する不動産物件の抵当権を抹消した
・契約上の明け渡し期限を過ぎてから、買い主が物件の購入代金をいつでも支払える状態で、売り主に対して物件の明け渡しを求めた

しかし、この「契約の履行」というのは、数字のようにはっきり定まったものではなく、その判断は難しいことが少なくありません。そのため、契約解除をめぐってはトラブルが起こることも。

その回避策の1つとして、手付金の放棄による解除ができる期間を「契約日から○日以内」「○月○日まで」といたように契約上で定めるという方法もあります。

違約手付

契約を交わして一定の義務を負う人が、正当な理由がないのにその義務を果たさないことを「債務不履行」といいます。不動産の売買契約において、正当な事由がないにもかかわらず義務を果たさない場合には、損害賠償を請求することが可能です。

それとはとは別に、約束を違えた「罰」として没収することができる手付金を「違約手付」といいます。

買い主に債務不履行があった場合は、手付金の全額が違約金として没収されます。売り主に債務不履行があった場合は、手付金の倍額を買い主に対して支払わなければなりません。

たとえば、買い主が100万円の手付金を支払っていたとして、買い主側に債務不履行があった場合は、100万円全額を放棄することになります。他方、売り主側に債務不履行があった場合は、受け取っていた手付金の倍額である200万円を買い主に対して支払う必要があるでしょう。

なお、解約手付による契約の解除は債務不履行にはあたりません。そのため、債務不履行による損害賠償請求はできません。ただし、解約手付を取り交わしていても、相手方に債務不履行がある場合は、債務不履行を理由とする売買契約の解除や損害賠償請求は可能です。

手付金を返還するケースについて

手付金は、最終的に売買代金の一部に充当するという契約になっていることが多いものですが、それはあくまで手間を簡略化するための慣例。本来であれば、手付金は、売買代金の正式な支払いに伴って、売り主から買い主へ返還されるべきお金です。

それだけでなく、実際に手付金を返還することが求められるケースもあります。それは、「買い主が住宅ローン審査に落ちた場合」です。

住宅の購入に際して、買い主は住宅ローンを借り入れるのが一般的ですが、買い主が金融機関に住宅ローンの借り入れを申し込んでも審査で落とされることがあり得えます。そうなれば、ローンを借りることができず、住宅の購入ができなくなってしまいます。

そのような場合には手付金の全額を売り主から買い主へ返還し、契約を白紙撤回する——。こうした内容が「ローン特約」と呼ばれる条項で、不動産取引の契約に盛り込まれるのが一般的です。売り主は、そうした事態に備えて手付金を手元に残しておくことが必要ですし、買い主は契約締結時にローン特約の内容を確認しておく必要があります。

おわりに

何事もなく売買契約を締結し、その後の引き渡しまで進めることがでれば、手付金は物件の購入代金に充当されて終わります。しかし、予期せぬ事態が起これば、その手付金がさまざまな効力を発揮することがあるのです。

売買契約の締結や手付金の支払いにあたっては、その手付金の性質をしっかり確かめておきましょう。


最終更新日:2019-12-25

 

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