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2017-05-18

最終更新日:2017-05-18

「申込証拠金」と「手付金」の違い


住宅購入前に支払う「申込証拠金」と「手付金」はそれぞれ異なる意味合いを持ちますが、その違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

「申込証拠金」と「手付金」の違い、支払いや返還に関する注意点について解説します。

住宅購入の流れ

気に入る物件を見つけていざ購入しようと思ったら、最初に支払うのが「申込証拠金」です。申込証拠金は不要な場合もありますが、物件の購入価格にかかわらず2万円から10万円が平均的とされています。

その1週間から2週間後、売買契約を行う際に支払うのが「手付金」です。手付金は、物件の購入価格の5%から20%が目安となります。契約に際しては、売買契約書に貼る印紙税の代金(数万円)も必要になりますが、ここでは除いて考えることとします。

その後、住宅ローンの借り入れや購入代金の支払いなどのお金も動きますが、売買契約までに大きく動くのが、この申込証拠金と手付金なのです。これらにはどういう違いがあるのでしょうか。

申込証拠金とは

購入したいと思う物件が決まったら、その物件を購入したいという意思を、売り主または仲介する不動産会社に伝える必要があります。そのときに、不動産会社から支払いを求められることがあるのが「申込証拠金」です。

申込証拠金は、「この物件を購入する意思があります」ということを、不動産会社を通じて売り主に正式に伝えるためのものです。平均的な金額は5万円から10万円とされ、物件価格に比べれば決して高額ではありませんが、支払うタイミングが大切だといえます。

購入の意思を示し、無事売買契約に至った場合には、手付金を支払って売買契約を締結することになります。申込証拠金は、その手付金や、契約時にかかる印紙代などの費用に充てられることになります。そうなれば、購入者にとって、申込証拠金はいわば“購入費用の前払い”というわけです。

申込証拠金の注意点

一方で、申込証拠金を支払っただけでは物件の売買契約は成立していないという点に注意しなければなりません。申込証拠金は「購入したい」という意思を表明したに過ぎず、その意思表明の有効期間は1週間から10日間が目安です。

支払ったことで安心していると、実際の契約は成立せず、気に入った物件を逃してしまいかねません。

反対に、売買契約がまだ成立していないということが、利点として働く面もあります。申込証拠金を支払った後の話の流れや状況の変化などによって売買契約が成立しない場合には、申込証拠金は返却されるのが一般的です。

申込証拠金を支払ったからといってその物件に縛られることはないのです。

以上のような点をふまえ、申込証拠金の支払いを有効に機能させるためには、下記のような点に気をつけましょう。

・申込証拠金を支払ったら、支払った証拠として必ず「預り証」をもらうこと。

・申込証拠金の有効期間を確認しておくこと。口頭では“言った言わない”になりかねませんので、書面で確認しておくことが肝心です。

・購入キャンセル時には全額返還される旨、書面で示してもらうこと。なかには、あとから「キャンセル時は、事務手数料○万円を差し引いた額を返還する」といってくるようなケースもあるのです。

申込証拠金の支払いは義務ではなく、不動産会社によっては不要な場合もあります。契約時に購入費用に充当されるからといって法外な金額を請求されるようなことがあれば、その不動産会社の信頼性を念のため確かめておくことをおすすめします。

手付金とは

申込証拠金の有効期間内に無事売買契約に至った場合に支払うのが「手付金」です。手付金は、売買契約の成立を前提として、買い主から売り主に対して支払われるものとされており、支払った手付金は引き渡しまでに購入代金に充当されます。

不動産会社(宅地建物取引業者)が売り主として手付金を受け取る場合は、物件の売買価格の20%が手数料の上限――これは宅地建物取引業法によって定められており、その相場は10%から20%です。

なお、物件価格の10%(建物が未完成の場合は5%)の手付金、または1000万円を超える手付金を支払った場合には、「手付金の保全措置」がとられます。保全措置とは、売り主である不動産会社の倒産などの事態が起こっても、支払った手付金が買い主に確実に戻るようにする手続きのことで、金融機関などが保証する制度です。

保全措置が行われる際は、手付金を保全していることを証明する書類が発行されます。保全を請け負う金融機関やその保全内容などが書かれていますので内容を確認し、書類は大切に保管しておきましょう。

手付金の注意点

手付金の支払いは、売買契約が成立したことを意味します。そのため、手付金を支払ったあとの購入キャンセルは、契約の解除ということになります。

手付金を支払って売買契約を済ませた後に、何らかの事情で買い主が売買契約を解除する場合は、売り主に支払った手付金を放棄することによって売買契約を解除することができます。こうした性質をもつ手付金を「解約手付」といいますが、手付金は原則として解約手付の性質をもっているのです。

他方、売り主からキャンセルを申し出る場合は、手付金の2倍の額を買い手に返却すれば、契約を解除することができます。これを「手付倍返し」といいます。売買契約書に記名・押印して手付金を支払うということは、それだけ大きな効力が生まれることなのです。

注意しておきたいのは、購入キャンセルの前に、売買契約に基づく約束ごとを相手方が履行している場合は、契約を解除することができません。この「履行」の範囲を確認しておかないと、あとでトラブルに発展してしまうことも。

売買契約書でキャンセル可能な期間が定められていることもありますので注意しましょう。

おわりに

気に入る物件を見つけたら、スムーズに売買契約までこぎつけたいものです。そのためにも、申込証拠金と手付金の支払いフローや、確認しておくべきことなどは、事前に調べておきましょう。


最終更新日:2017-05-18

 

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